愛車のバイクの鍵を全てなくしてしまった時、多くの人が頭を悩ませるのが、「鍵の専門業者（鍵屋）に頼むべきか、それとも購入したバイクディーラーに頼むべきか」という問題です。どちらにもメリットとデメリットがあり、置かれた状況によって最適な選択は異なります。両者の違いを正しく理解し、賢明な判断を下しましょう。まず、出張の鍵屋に依頼する最大のメリットは、その「スピード」と「利便性」です。ツーリング先や外出先など、バイクを動かせない場所で鍵をなくした場合、鍵屋は現場まで駆けつけ、その場で鍵の作成からイモビライザーの登録までを完結させてくれます。レッカーを手配する必要がなく、うまくいけば数時間で再びバイクに乗れるようになるその迅速さは、何物にも代えがたい魅力です。費用面でも、ディーラーに依頼するより比較的安価に済むことが多いのも利点です。ただし、デメリットとしては、業者によって技術力や料金にばらつきがあるため、信頼できる業者を慎重に選ぶ必要がある点が挙げられます。一方、バイクディーラーに依頼するメリットは、メーカー正規の対応であるという絶対的な「安心感」と「確実性」です。純正のキーブランクを使用し、メーカーの正規手順に則って作業を行うため、品質面での心配は一切ありません。特に、複雑なイモビライザーシステムを搭載した車種の場合、ディーラーでなければ対応できないケースもあります。しかし、ディーラーに依頼する場合、いくつかの大きなハードルがあります。まず、鍵がないバイクをディーラーまで運ばなければなりません。これは、レッカーサービスを利用する必要があることを意味し、その手間と費用がかかります。また、キーの作成にはキーナンバーが必要になることが多く、もしそれが不明な場合は、キーシリンダーごと交換となり、費用はさらに高額になります。作業にも時間がかかり、部品の取り寄せなどで数日から数週間待たされることも珍しくありません。結論として、ツーリング先など緊急性が高く、一刻も早くバイクを動かしたい状況であれば、信頼できる鍵屋を選ぶのが現実的です。自宅の駐車場でなくし、時間に余裕があるのであれば、安心感を優先してディーラーに相談する、という使い分けが賢明な選択と言えるでしょう。