現在販売されている新車のほとんどには、盗難防止装置としてイモビライザーが標準装備されています。しかし、少し前の年式の車や、一部の廉価なモデルには、この重要な機能が搭載されていない場合があります。そうした車に乗るオーナーにとって、愛車を盗難の脅威から守るために「イモビライザーを後付けする」という選択肢が考えられます。後付けのイモビライザーシステムは、カー用品店や専門の電装業者などで購入・取り付けを依頼することができます。その仕組みは、メーカー純正品と同様に、専用のキーやタグに埋め込まれたIDコードと、車両に取り付けたユニットが認証しなければエンジンがかからない、というものが基本です。製品には様々なタイプがあり、専用キーのICチップと認証するタイプ、キーホルダー型のタグを認証させるタイプ、あるいは暗証番号を入力するタイプなど、予算や好みに応じて選ぶことができます。後付けする最大のメリットは、当然ながら車両の盗難防止性能を飛躍的に向上させられる点です。特に、海外で人気の高いスポーツカーやSUVなどの、いわゆる「盗難されやすい車種」の旧型モデルに乗っている場合には、非常に有効な防犯対策となります。しかし、後付けにはいくつかのデメリットや注意点も存在します。まず、製品代と取り付け工賃を合わせると、数万円から十万円程度の費用がかかります。また、車両の電気系統、特にエンジン始動に関わる重要な配線に手を加えることになるため、取り付けは信頼できる専門業者に依頼することが絶対条件です。不適切な取り付けは、エンジンがかからなくなるといったトラブルの原因になるだけでなく、最悪の場合、走行中のエンジン停止など、重大な危険を引き起こす可能性も否定できません。さらに、後付けシステムの信頼性や耐久性は、製品によって様々です。安価な海外製品の中には、故障しやすいものや、電波干渉を受けやすいものも存在します。イモビライザーの後付けは、愛車の価値と安全を守るための有効な手段ですが、その導入にあたっては、信頼できる製品と、確かな技術力を持つ業者を慎重に選ぶことが、何よりも重要と言えるでしょう。